この時計、戦後間もなく、我が家の一員になったと聞く。
父が売り上げ日本一になったのを記念して問屋さんから贈られたと聞く。
聞く、と言うことは私の全く知らない昔のこと。
母の話では、父はこの時計を「マイ・ビッグ・ベン」といって気に入っていたようである。
父が本当のビッグ・ベンの音を知っていたのかどうかは別として、この時計は「ボン・ボン時計」ではなく「キン・コ~ン」という音で時を告げる。
子供の頃、この音が怖くて夜はトイレに一人で行けなかった。
青春時代、あ~、もう、6時、もうちょっと寝かせて~とふとんにもぐっていた。
そして今、チクチク、時を刻む音が気になって寝られなくなった。(笑)
毎年、時の記念日の前後にメンテナンスに来てくださっていたおじさんから、「もう、この時計をさわれなくなる」と言われた。今年で定年だそうだ。この時計もおじさんと同い年なのかもしれない。
そろそろこの時計の処遇を考える、「今年の時の記念日」。
背丈 1メートル
あとは 寸胴
いつもこうして高いところから見下ろしている。
正面に贈り主の名前が入っている。
この名前の部分が私の手の届くところだったらしく
いたずらで薄くなっている。
30分に1回、ワンセット「キン・コ~ン」と鳴る。
12時だと「キン・コ~ン」を12回。
寝られない夜は耳につく。